IoT

 

研究・開発

 

課題解決

IoT自然災害観測装置の研究・開発

  • IoT自然災害観測装置の研究・開発

  1. 雪崩や土砂災害による斜面崩壊の発生時間や状態の確認を目的とし、IoTを活用した自然災害観測装置の研究・開発を行っています。このプロジェクトは、2017年より山梨県産業技術センターさま・山梨県富士山科学研究所さま・協力企業さまと共同にて始まりました。

雪崩メカニズムの解明・現存する土砂崩れ観測装置の課題点を解決するため、山梨県産業技術センターさまが開発した雪崩検知装置をベースにして太陽光発電パネルモジュールや耐衝撃性のあるスマートフォン(赤外線カメラ・各種センサー)を搭載したウレタンフィルム製のバルーン型装置の開発を進めています。木製の杭で設置した装置が崩落の勢いではね飛ばされ、センサーによって収集されるデータによってその発生時間や崩落方向がわかるという仕組みです。

弊社においては、カメラやセンサーからのデータ収集面の研究、そのデータをクラウドへ送信できるアプリの開発するという一端を担っています。現在までにも各地での実証実験へ同行したり、アプリや装置に対して長期計測対応や高機能化の仕組みを考え、都度実践しながら協力を続けています。

人が入れない危険な場所こそ、IoTの活用を

最近では自然災害のニュースをとても多く見るようになりました。また、私たちも実際に被害を受けたり、身近な人が被害を受けたりと、誰しも「他人事ではない」のが現状です。地震、台風による水害や土砂崩れ、火山の噴火、雪崩……自然とともに生きている限り起こることは仕方のないことかもしれません。データの把握による予測や状態の監視などを通して、被害を最小限に抑えられるようにしていくために国内でも様々な対策が練られています。しかし、危険な地帯で人がたえず監視・観測を行うというのは現実的ではありません。

それを最新の技術であるIoT(Internet of Things)を使ってインターネットとモノを繋ぎ、少しずつ私たちの暮らしが不安に苛まれることがないようにしていきたいと考えています。総務省をはじめとして、国内各地で自治体へのICT/IoTの本格的な実用化に向け利活用の促進がされています。もしかしたら、あなたの住んでいる地域でも先進技術を取り入れた研究・開発がなされているかもしれません。

人が入れない危険な場所こそ、IoTの活用を

より良い研究・開発を進められるよう、綿密な調査・選定から

IoTというシステムの実装・運用には広範な領域の知識が必要となります。弊社では、有効なスマートフォンとセンサーの選定や独立型電源装置について調査・研究を行いました。超小型IoTセンサーモジュールや、センサーが集約されたスマートフォンの使用の案が挙がります。しかし、屋外かつ災害の恐れがある地域での使用となるため、使用するスマートフォンにおいても耐久性・防水性の面に優れていることを考慮しなければなりません。弊社では、雪崩の観測には温度が視覚的に判別できる赤外線センサーが有効ではないかとの仮説のもと、使用するスマートフォンにはキャタピラー社さまの「Cat S60/S61」を選定しました。このスマートフォンはセンサー面以外でももちろん優れており、防水・防塵規格に加え本体とガラスともに高強度で屋外使用に最適です。また、スマートフォン端末以外でもエレックス工業株式会社さまの「μPRISM(マイクロプリズム)」という小指の爪より小さなスマートセンサーを利用しての実験・開発も始めています。

技術の向上でセンサーが集約された、スマートフォン端末の活用

最近のスマートフォンは、センサー類がとても充実しています。お馴染みの「GPSセンサー」ではGPS衛星からの距離から求めることで現在の位置情報を知ることができたり、「加速度センサー」では、どちらの方角を向いて動いているのかを知ることができたりします。また、「ジャイロセンサー」では、スマートフォンの傾きを知ることができます。これは最近ではゲーム機にも搭載されているので、よく耳にする言葉ではないでしょうか。

IoT自然災害観測装置に搭載するAndroid端末「Cat S60/S61」からLTE等のインターネットを介して、設置した場所の写真や、前述のセンサー類からの情報(赤外線カメラによる画像、移動距離、加速度、傾き 等)が定期的にデータとして送られるようにしています。さらに、「μPRISM」をスマートフォン端末に繋げることでセンサーを補完、かつスマートフォンの傾きと設置時の棒に仕込んだμPRISMの傾きから装置の位置特定を可能にしています。しかし山中のため、インターネットが圏外の場合もあります。そのような場合にも対応できるよう、回収までデータ保持しておけるようにしたり、実際に土砂崩れや雪崩などの災害に巻き込まれた際に探索・回収できるようビーコンを仕込むなど工夫を凝らしています。

このように得られたデータが、土砂災害現場における二次災害発生の監視や、雪の吹き溜まり発見後から雪崩発生までの現場状況の観測、雪崩のメカニズム解析のために役立てられます。そして、今後の災害対策に有効活用されていくのです。

電源のない山中での実用化に向けて

もちろん、山中で電源が取れることはありません。そのため、自立電源による長期計測に対応するためにセンサー類のデータ計測のしきい値や計測間隔を調整したり、太陽光発電パネルモジュールの活用、バッテリーを搭載したりと様々な手段をとることとなりました。この装置は実験の際に木製の杭で地面に差して設置しますが、富士山等の国立公園では自然物以外の回収が必須のため、装置の中に電源・センサー搭載のスマートフォン・バッテリーを搭載し独立した装置として観測・回収できるようにしています。

サーモグラフィカメラを研究に活かすためのアプリ開発

各種センサーと合わせて、赤外線センサーを使ったサーモグラフィカメラを使った弊社開発のアプリとクラウドを利用して研究中です。しきい値・インターバルの設定や、センサーなどがアクティブかどうかわかるようなボタンを一画面に配置し、使いやすく分かりやすい事を第一に考えました。アイコンのデザインも弊社デザイナーが制作しました。自社内で何度もテストを繰り返し、時にはSDKの不具合に苦戦したりしながらも、弊社エンジニアが現在も使いやすいアプリを目指して改善を続けています。

実用化に向けた実証実験と今後

観測装置の実証実験では、危険地域立入のため国土交通省の認可を受けて実験地点の山中に設置します。これまでにも既に北海道のニセコで人工雪崩を起こしての実験や、富士山・群馬県草津町での雪崩観測、静岡県伊豆市での土砂災害観測など、各地で実地検証を重ねています。発生時間や崩落方法のその時間や2019年10月の静岡県伊豆市での土砂災害観測実証実験に同行した際のニュース記事、「山梨県産業技術センターさまと共同研究中のIoT自然災害観測装置実地検証に同行しました」も弊社サイトに載せていますので是非ご覧ください。今後も、雪山でのドローンによる装置投下試験など様々な場所・場面での実証実験も予定されています。また同行の際にはニュース記事を更新していこうと考えていますので、今後の動向にも是非注目していただけますと幸いです。

最新技術を自治体の研究に取り入れるという協力ができることは、弊社にとっても社会貢献に繋がる貴重な経験です。自然災害の発生条件やメカニズムを解明することは、社会全体の大きな一歩となるでしょう。また、自然災害観測装置の研究という防災の分野から、さらに違う分野へ技術を活かせることも出てくるのではないかと考えられます。

今後も実験と改善を繰り返してデータと手法を蓄積し、量産試作への取り組み及び実用化に向けた研究・開発協力に尽力していきたいと考えています。