枝判別作業の効率化、圃場収益の最大化を目的とした「ぶどうの栽培効率化の研究」
factory4のオフィスのある山梨県はぶどうの生産量が日本一として知られています。みなさんも、山梨県産のデラウエアや巨峰を口にしたことがあるのではないでしょうか。様々な種類がありますが、最近だと皮ごと食べられて種のない、弾ける旨味が特徴のシャインマスカットなどが大変人気です。また、ぶどうの生産が盛んなことから、ワイナリーも山梨県峡東地域を中心として県内各地に存在します。首都圏からのアクセスも良いため、美味しいワインを求めて多くの観光客の方が訪れています。
弊社では、JAさまと共に2018年春からぶどう枝判別作業の効率化、圃場(ほじょう:作物を栽培する場所のこと)収益の最大化を目的とした「ぶどうの栽培効率化の研究」を一年間行いました。その中で、ドローンを活用した4K写真撮影や、枝判別のソフトウェア開発についても取り組んでいます。こちらの春の記事から夏・秋・冬と続く4本立てで、皆さまにこの研究についてお伝えしていきたいと思います。
研究に向けて− 最新技術・ドローン使用の提案
まず初めにどのような技術が活用できるのかも含め、JAさまや実際に研究を行う圃場の方と今後の計画を練っていきます。2次元・3次元画像解析、AIディープラーニングによる画像解析などの最新技術も活かせるのではないかと考え提案、実際に取り入れることになりました。また、写真からもわかるようにぶどうの樹は横に横にと枝を広げる特性があり、ぶどうの圃場は広くなっています。その圃場の状況を把握するためには空からの農地状態写真データ取得、ドローンの使用が良いのではないかと提案。DJI社のドローン「Inspire 1」、4Kカメラ「Zenmuse X5」、そしてドローン撮影用自動航行ソフト(GsPro)の導入により、当初より自動航行による4K撮影を取り入れることとなりました。
春のぶどう圃場のようす
春は、ぶどう棚の手入れや芽かきの時期です。簡単に言えばこれから枝が這う棚線を補強したり新芽を切っていく作業になりますが、これには長年培った経験と目が必要な技術です。さらに新しく伸びた枝の誘引・そして新しい枝に出てきた複数のぶどうの房を減らすなど、枝や葉が成長して重なり影にならないよう、また全ての枝に栄養がしっかり行き渡るよう見極めて作業することがよいぶどう作りには重要です。
新たな担い手が減り、農業従事者も高齢化の一途を辿る現実、このような部分を最新技術が支援することができれば新たな農業の可能性が広がります。今後の技術・機器の発展でそれはどんどん現実味を帯びてくるはずです。その一端を弊社でも担っていけることが理想です。
次回は「夏、ぶどう枝の3D点群データとAIの活用へ」についての記事へと続きます。
ちいさな実が夏の日差しの元で膨らみ、秋の収穫に向けて作業が進むぶどう畑の様子と弊社ですすむ研究・開発について写真を交えてお伝えします。